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 大阪大学医学部附属病院 小児医療センター「こどもの森」は、「診療を要するすべての子どもと家族を尊重し、質の高い専門的な医療を提供すると共に、小児医療を支える人材を育成し小児医療の発展に貢献します」を理念に掲げ、2008年2月に設立された。内科系外科系すべての診療科が、一体となって総合的で質の高い専門的な医療を提供する。さらに、病棟保育士やチャイルド・ライフ・スペシャリストといったスタッフらが、同センターに常駐し、保育、教育、メンタルサポートを行い、療育支援を行っている。設立以来、同センター長を務める大薗恵一氏に、「子どもの命と心を支える医療チーム」の活動を聞いた。(聞き手:佐藤千秋=日経メディカル開発)
87床の病床稼働率は80%以上
二次後送病床の役割も担う
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 2012年2月で、5年目に入った小児医療センター「こどもの森」ですが、現在の施設規模などをご紹介ください。
大薗恵一氏
 大阪大学医学部附属病院の病棟・診療棟の6階にあり、内科系の東病棟47床、外科系の西病棟40床の計87床を運用しています。同病院の小児科、小児外科、整形外科、眼科、脳神経外科、心臓血管外科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、形成外科、泌尿器科、放射線診断科、放射線治療科の入院患者を受け入れ、豊能広域こども急病センター(大阪府箕面市)の二次後送病床としての役割も果たしています。
 また、GCU(新生児回復治療室、10床)では、総合周産期母子医療センターで治療を受け、回復期にある新生児さんの退院前診療を行っています。さらに、高度集中治療管理を必要とする患児さんが高度救命救急センターや集中治療部で治療を受けた後の回復期の継続医療を行い、必要ならば、保健医療福祉ネットワーク部と連携して退院支援を行っています。
 2011年度は、1983人(うち緊急入院351人)が入院し、病床稼働率は81.8%です。
病気の子どもを動かさず
医師が集まって治療する
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 複数の診療科の医師が同センターで治療に当たるようですが、どのような診療体制をとられているのですか?
大薗氏
 センターの医師は、センター長の私の他に、副センター長が1人(もう一人の副センター長は看護師)です。ですが、前述の診療科に所属する医師らの協力があるので、子どもの疾患のすべての領域をカバーできています。
 このセンターができるまでは各診療科で治療していましたが、今では急性期から慢性期まで、病気の子どもが移動するのではなく、医療者がこのセンターに集まって診療を行うのです。また、小児医療に必要な診療機器や機材が病院全体に分散することなく、このセンターに集結させることができるというメリットもあります。「総合病院の中の子ども総合病院」とも言えるのではないでしょうか。
 小児医療センター連絡会議を2〜3カ月に1度の頻度で開催して、現場スタッフの情報交換を行い、問題点や課題などを解決する話し合いの場にしています。病院事務や中央部門スタッフも参加する小児医療センター運営委員会では、俯瞰的な視点から小児医療センターの運営について討議し、常に様々な改善に取り組んでいます。
認定チャイルド・ライフ・スペシャリストが
患児の心をケアして、治療効果を高める
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 このセンターには、医療者以外のスタッフがいらして、患児さんを多方面からサポートしているそうですね。どんな職種の方がおられて、どのように患児さんと関わっているのでしょうか?
大薗氏
 センターでは、病棟保育士、認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト、院内学級教員、臨床心理士、ソーシャルワーカーなど、多種多様な方々が小児医療に有機的に関われるように、工夫しています。
 病棟保育士は、主に乳幼児の保育、院内学級教員は小中学生の学習活動の支援を行っています。臨床心理士は患児さんを支える親御さんのケアも行います。
 特に、認定チャイルド・ライフ・スペシャリストは、患児さんの心身のサポートを通して、治療効果の向上に寄与されています。
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 認定チャイルド・ライフ・スペシャリストとは、どのような職種なのでしょう?
大薗氏
 米国のチャイルド・ライフ・カウンシルが認定する資格で、治療を受ける子どもやその家族に対して、精神的な負担を取り去り、治療に専念できるように支援する専門職です。
 例えば、入院によって学業の遅れを気にする子どもの不安を取り除くといったことも、認定チャイルド・ライフ・スペシャリストの仕事です。また、治療に不安を抱いている患児さんに対して、医師とは違った表現や接し方で説明することで、主体的に病気を治す気持ちを育んでいます。米国では認定チャイルド・ライフ・スペシャリストが関与することで、治療期間が短くなるという論文が出ているようです。私も、そのように感じています。
 このセンターでは、入院している患児さんへの感染を防ぐため、子どもの立ち入りを禁止しています。そのため、兄弟を家に残して病院に来なければならないご家族もいらっしゃいます。そのようなケースでは認定チャイルド・ライフ・スペシャリストが相談にのって、家に残された子どものケアの手助けもしています。生活面の心配事は医師に相談しにくいようですが、それを補ってもらっています。
 それから、親が入院していると、その子どもはストレスを受けますが、その子どものケアについて、他科の医師などから相談を受けることもあります。そのようなケースでも、できる限り対応しています。
さらに高度な医療を提供し
教育面にも注力していきたい
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 今後、小児医療センターをどのように発展させていきたいとお考えですか?
大薗氏
 現在、このセンターにはPICU(小児専用集中治療室)がありません。そのため、総合的な二次、三次救急に必ずしも対応できていないケースがあります。医師や看護師の配置も含めて、改善していきたいところです。それから、成人期に達した小児疾患患者の診療体制も対応していきたい課題です。
 医学部附属病院としては卒前、卒後教育も重要です。そこにも注力して、小児科医や小児を診る様々な科の医師と医療スタッフを増やしていければと思います。
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大学病院医療情報ネットワーク
発行:国立大学病院長会議常置委員会  広報担当事務局:岡山大学病院  編集・制作:(株)日経メディカル開発