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膵臓がん再発後に外科切除を再び行い、生存期間を延長
-宮崎病院長(肝胆膵外科教授)が世界的な投稿誌に論文発表-

2014年2月

 千葉大学医学部附属病院長を務める宮崎勝(肝胆膵外科教授)が執筆した膵臓がんに関する論文が、世界的に権威のある投稿誌「Surgery」2014年1月号に掲載されました。

(主な発表内容)
■膵臓部分に再発した場合に有効
外科切除をしても8割程度の患者さんに再発が見られる膵臓がん。再発後の再手術は身体への負担が大きいため、治療は化学療法などが中心です。ただし、効果は限定的であることから、治療が困難な「難治がん」の一つとされています。
しかし、千葉大学病院では、再発した場所が、外科切除後に残った膵臓部分(残膵再発)であれば、再度、外科切除の手術を行うことが有効と考え、化学療法と外科手術を組み合わせた治療法を導入して、積極的に手術を行っています。
これまでに11の症例があり、下記の通り、有意に生存期間の延長が認められました。手術後の合併症発生率も27%と少なく、合併症による死亡は認められず、全例で安全に手術ができたことも確認されました。

<膵臓がんで外科切除したあと、再発して再び外科切除をした人としない人の比較>

再切除しなかった170名 再切除した11名
初回手術からの2年生存率 42% 91%
初回手術からの5年生存率 13% 82%

<宮崎勝病院長・肝胆膵外科教授のコメント>
このような治療はすべての患者さんに当てはまるわけではありませんが、たとえ進行した膵臓がんやその再発であっても、あきらめずに治療をすることで改善する可能性があるという、患者さんへの強いメッセージになると確信しています。患者さんには、主治医とよくコミュニケーションをとりながら、「がん」に挑んでいただければと思います。

■千葉大学の症例数11は日本で第1位、世界では第2位
がん切除後の残膵再発に対する再切除の症例報告(図1参照)は、日本のみならず海外でも貴重なデータです。2011年にトーマスジェファーソン大学(アメリカ)の6症例、2013年にハイデルベルグ大学(ドイツ)の24症例が報告されており、2013年の千葉大学11症例は、ハイデルベルグ大学に次ぐ世界第2位の数です。術後生存期間も同等の成績であるため、千葉大学の積極的な外科切除の姿勢が世界的にも評価されていると考えています。

(図1)がん切除後の残膵再発に対して再切除の症例報告

Morbidity :手術合併症発生率  Mortality : 周術期死亡率  MST : 生存期間中央値

千葉大学医学部附属病院
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