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2014年7月
筑波大学附属病院循環器内科の青沼和隆教授らのグループが、平成26年7月1日、心房細動に対する新たなカテーテル治療である「経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術(アブレーション)」に成功しました、わが国では初めての施行例です。
【本治療法の特徴】
不整脈の一種である発作性心房細動に対する根治療法としては,すでに高周波カテーテル焼灼術(アブレーション)が普及しつつあります。しかし,高周波エネルギーを用いたこの手術法は術者の熟練を要し,長い施術時間が問題でした。今回施行されたカテーテル心筋冷凍焼灼術の特徴は,バルーンカテーテルによる均一な一括冷凍焼灼で,短時間で確実な心房細動治療が可能となりました。(図1、図2、図3、図4)
患者さんに対する具体的なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
図1 本治療法に用いる医療機器
図2 経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼法のプロセス
図3 冷凍時の温度分布のイメージ図(青:-80℃、赤:体温)
図4 米国での治験成績(本術式による治療と薬物治療のみとの治療成績の比較)
本術式で治療した場合(水色線 CRYO)、術後1年の治療成功(再発しない)率は7割程度だが、手術をせず薬物治療のみの場合(青線)、治療成功率は1割以下となる。なお、この米国試験で用いられた経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼カテーテルは第一世代のものであり、今回我が国に導入された改良型第二世代のもののほうがさらに効果が高いと期待されている。今後、厚生労働省への全例報告調査報告によってそれが明らかとなれば世界初の報告になる。