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小児がん拠点病院として

2013年12月

 小児がんは発症数が少ないわりに取り扱う病院が多く、質の高い医療を提供するためには、一定の症例実績を上げることが重要・不可欠であるが、病院によっては治療経験が乏しく、十分な症例を経験することができないということが問題となる。厚生労働省において、あらたに小児がん患者を集約し、拠点化することにより、この問題の解決を図ることを目的に2013年2月に全国各地域15医療機関を小児がん拠点病院として選定した。名古屋大学医学部附属病院は、15機関のうち東海・北陸ブロックの小児がん治療の拠点病院として選定を受けた。
 小児がんは15歳以下の小児にみられる悪性腫瘍の総称で、成人にみられるがんとは、発生部位や病理学的分類が大きく異なる。日本全国でも、1年間の発症数は2000人前後と稀な疾患であるが、5~15歳の子どもの病死の原因の1位を占め、全国では毎日2人の子どもの命が失われているという現状にある。
 名古屋大学医学部附属病院の所在する愛知県では、毎年60~70人の白血病などの血液がん、80人前後の神経芽腫のような固形腫瘍の発症をみている。名古屋大学医学部附属病院においても年間20~25人の血液がん、50人前後の脳腫瘍を含む悪性固形腫瘍の患児の紹介を受けており、この数は全県下の患者数の半数に達している。
 名古屋大学医学部附属病院では、これまでも小児がん治療の診療体制・診療設備の充実を図ってきたが、小児がん拠点に選定されたことを受け、さらに体制充実等を図るべく、10月には小児がん治療センターを開設、東海・北陸ブロック地域に所在する各病院と連携を深め、小児がん診療の中心的存在として活動するとともに、小児がん患者の診療や研究を牽引する専門的知識を有する医療従事者の育成に取り組み、多職種でのチーム医療の実現を目指している。
 また、小児がん拠点病院に選定されたことにより、院内学級の利用者も増加しており、新たな院内学級用の教室を整備している。
その他、平成26年1月には、名古屋大学医学部附属病院内に建設されたドナルド・マクドナルド・ハウスなごやの運用が開始され、小児がんと闘う子どもたちやその家族の経済的、心理的負担の軽減を図ることにより、小児がん治療の一助となることが期待される。

名古屋大学医学部附属病院
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