第1回定例記者会見と、「国立大学附属病院における感染対策の取り組み」に関するプレスセミナーを2013年12月6日、東京医科歯科大学にて開催しました。その内容についてご紹介します。
【日時】2013年12月6日(金)17:00~17:50
【会場】東京医科歯科大学 M&Dタワー 26階 ファカルティラウンジ
~第1回定例記者会見について~
第1回定例記者会見の内容は次の通りです。
テーマ:
自由民主党「大学病院を支援する議員連盟」への国立大学附属病院の現状説明と今後の発展に向けての要望について
記者会見の内容:
国立大学附属病院長会議を代表して、常置委員長の千葉大学附属病院病院長の宮崎勝らが、2013年10月24日(木)に自民党本部で開催された「第2回大学病院を支援する議員連盟」に出席しました。
出席した目的は、「平成26年度国立大学附属病院関係予算にかかる要望書」を提出することと、国立大学附属病院の現状などについての説明、さらに今後の発展に向けての要望を伝えることです。具体的な要望と説明の内容は次の6つです。
国立大学附属病院長会議が提出した要望書や説明などの内容を受けて、議員連盟では「決議文」を作成し、関係大臣に提出されています。
【議員連盟に説明・要望した主な内容】
- プロフェッショナルかつグローバルな医師を養成する新たなシステムの構築が急務
- プロフェッショナルな看護師やメディカルスタッフを養成する新たなシステムの構築が急務
- 国立大学附属病院長会議「将来像実現化行動計画2013」の実現化
- 革新的な医薬品・医療機器を創出するための制度設計・及び国立大学病院の機能を活用できる仕組みの構築が必須
- 我が国の医療の発展に向けた国立大学附属病院の機能強化のために必要な診療・教育・研究体制及び施設設備の充実が重要
- 高度医療を継続的に提供するための勤務環境・処遇の改善に対 する理解及び支援
「大学病院を支援する議員連盟」会長の河村建夫衆議院議員(写真左)に要望書を提出する
国立大学附属病院長会議常置委員長・千葉大学医学部附属病院長宮崎勝
(2013年10月24日/自民党本部にて)
~プレスセミナーについて~
今回のプレスセミナーは「国立大学附属病院における感染対策の取り組み」についての報告でした。
テーマ:
国立大学附属病院における感染対策の取り組み
プレスセミナーの内容:
新型インフルエンザや、拡大が懸念される鳥インフルエンザ、MERSなどの新興感染症、結核などの再興感染症など、毎年流行し、アウトブレイクが懸念されるインフルエンザやノロウイルス感染症。
「感染症は治る病気」という考えが覆されるような多剤耐性菌の出現と拡散など、新旧それぞれの感染症という病気の勃興は、高齢化社会を迎える我が国にとって大きな脅威となることから、医療施設内にとどまらず、地域連携による組織的な感染症制御の重要性が増しています。
国立大学附属病院長会議は、感染症対策に特化した「国立大学附属病院感染対策協議会」を、2000年に設立し、国立大学附属病院における病院感染対策にかかわる諸問題に取り組む組織として、活動を続けています。そして2010年には、公立大学病院及び防衛医科大学校の加入により、「国公立大学附属病院感染対策協議会(以下、協議会)」となりました。さらに同時に設立された、私立医科大学病院感染対策協議会、私立歯科大学・歯学部附属病院感染対策協議会とも連携して活動を行っています。
これまでに協議会では、足並みをそろえた病院感染対策サーベイランスの継続、病院感染対策ガイドラインの策定、感染制御に関わる医療従事者への研修会の開催など、様々な活動を行ってきました。特に協議会のガイドラインは我が国の感染制御の分野では、最も早期にまとめられたものであり、現在では『病院感染対策ガイドライン 改訂版』が出版され、全国の医療施設で活用されています。
さらに相互に施設を訪問して、平時の感染対策を評価する相互チェック事業とサイトビジット(改善訪問支援)事業、アウトブレイク時の改善支援調査事業が行われています。
こうした活動は、各施設での感染制御の質向上と標準化に大きく寄与しており、我が国の組織的な病院感染対策のモデルとして多くの医療機関や学会からも注目されています。
また2012年の診療報酬改定では、「感染防止対策加算」が新設されました。加算算定にあたっては、加算1施設同士の相互チェックを導入するなど、協議会における活動が模範として取り上げられ、大きな後押しとなったものと考えられます。
このように病院感染対策の体制は充実されつつあるものの、現場で実際に感染制御を専門に担当する人材はまだまだ少なく、日々発生する院内感染症や、新興・再興感染症に対応するための専門家が足りないのが現状です。
今回のプレスセミナーでは、まず国立大学附属病院長会議感染対策担当の名古屋大学医学部附属病院長・石黒直樹より、これまでの経緯説明を行い、続いて、国立大学附属病院感染対策協議会事務局長で名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部長・生体管理医学講座教授の八木哲也より、病院感染対策・制御に携わる専門家の人材育成の重要性について発表しました。
最後に、今後も引き続き、協議会活動の成果を社会に還元することで、感染対策の重要性を一層社会にアピールし、メディアを通じて、より多くの人々に、病院感染に携わる医療従事者を育成することの必要性に、理解を深めてもらえるよう、参加したメディア関係者に協力を仰ぎました。
国立大学附属病院における感染対策の取り組みについてプレスセミナーを実施。
国公立大学附属病院感染対策協議会がまとめた『病院感染対策ガイドライン 改訂版』は
全国の医療施設で活用され、感染制御に役立っている。
(写真左より八木哲也、石黒直樹、宮崎勝/2013年12月6日/プレスセミナーにて)