高齢化などに伴う認知症をはじめとする精神疾患は、いずれも今までの治療法だけでは改善が困難なケースが多いことも事実です。そこで筑波大学では、大学の特徴でもあり、他大学に比類ない機能を活用した、認知症の症状を改善する目的の、斬新な活動メニューを開発しています。その一部を筑波大学附属病院作業療法士 羽田舞子さんにご紹介していただきました。
「最新の研究によって開発された活動メニューとしては、認知トレーニングを取り込んだ運動メニュー(体育)、各種認知ゲーム・バーチャルリアリティのレクリエーション、古いニュースや映画などを活用する回想法、美術造形療法(芸術)、患者同士のピアミーティング(心理)などが主体ですが、体育+芸術+心理+医学が協働した学際性と対象疾患の新規性を特徴とします」という羽田さんの説明の通り、さまざまな分野の研究に従事する第一人者が集う筑波大学らしい成果です。
さらに羽田さんは、「1例ですが、認知力アップについては、当初30名の募集に対し参加希望が相次ぎ、現在では登録者数が70名に達しました。参加者は90%前後と、ドロップアウト率は極めて低く、認知機能と体力は定期的に評価しており、一部には顕著な改善を示す参加者も既に現れています」と早くも筑波大学で開発された活動メニューによる、認知機能の改善効果が期待できそうです。